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1-2. 業界の構図を知ろう【超解説】

LNG 提案を受ける方(エンドユーザー)向け に書かれています

初歩的な知識や、業界の構図について、ステップbyステップで解説していきます

各社の提案を吟味・比較できるようになり、より良い契約を結ぶのに役立ちます

目次

どんな会社がLNGを提案してくるの?

プレイヤー解説

LNG燃転の業界はこんな感じになっています。

LNG提案の関係図

  • エンドユーザー   LNGを使用する工場
  • LNG販社      LNGを売る会社(電力会社系、ガス会社系、商社)
  • エンジ会社     設備を納入する会社
  • メーカー      貯槽、気化器、ボイラー、炉、ガスタービンなどの各メーカー

LNGはどこから買えるのか?(LNG販社の選択肢)

LNG販売会社 とは 電力会社ガス会社商社石油元売会社 のことで、LNGを拡販することが各社のミッションとなっています。近くの LNG受入基地 からローリーでLNGを配送して来ます。

重油、灯油、LPGは、地元の商0さんや燃料屋さんなど幾つものルートから仕入れられます。(価格競争して貰うことができます)

対してLNGは、購入ルートの選択肢はとても少ない(=売り手側が強い)です出荷元(受入1次基地)に関与している会社、すなわち電力会社やガス会社や特定の商社からの購入に限定される訳です。

LNG購入を比較検討したい(相見積を取りたい)

工場の立地エリアによって、幾つの会社から見積もりを取れるかが決まります。近くにLNG基地が幾つあるかがポイントになります。 https://www.gas.or.jp/gastodokumade/

沖縄の場合は、吉の浦火力(沖縄電力)からしか県内にローリー配送できないため、LNG購入先の選択肢は「1」となります。

九州の南エリアも同じですね。鹿児島工場(日本ガス)からしかローリー配送ができないので、選択肢は「1」です。

九州の北エリアになると、「2」になります。戸畑基地(九州電力)、ひびき基地(西部ガス)が競合すする形ですね。ユーザー側からすると、BCPの観点でも安心ですし納入価格も競って頑張ってもらえそうですね! ※この地区には2次基地として大分基地(九州電力)もあります

北陸であれば、「3 ~ 5」となります。このエリアに所在する工場はラッキーです、しっかり各社を吟味しましょう!北陸電力、中部電力、大阪ガス、関西電力、東邦ガスのLNG基地からのローリー配送を受けられます。(LNG供給側からすると、激戦区でしんどいエリアと言えるかもしれません 笑)

LNGの価格はどうやって決まっているのか?

全国のLNG受入基地は、世界各地の産出国から~20年の長期契約でLNGを輸入しており、「CIF(シフ)」と呼ばれる輸入指標に基づき価格が決定されます。これは、重油の輸入価格に緩やかに連動しています。

ちなみにLPGの場合は「CP」という別の指標に基づきますが、こちらは夏と冬での価格変動がかなり大きい特性を持っています。(中東依存度が結構高いエネルギーで、サウジアラビアの王族が気分で価格を変えている なんて言われたりします)

ユーザーの購入単価はどう決まるのか?

供給側のLNG受入1次基地が、そもそも年間どれくらいのLNGを輸入しているか?によって、工場への提示単価は変わります。JERA(東京電力&中部電力)や、東京ガス、大阪ガスのLNG輸入量はとても多いので、結果として他社と比べ良い条件で価格提示してくるでしょう。

また消費側に依存する話として、ユーザーのガス使用量の大小によってガス単価提示は変わります。当然、沢山使ってくれる大口ユーザーの方が、小口ユーザーよりも低廉な単価となります。

先ほど、北陸エリアの工場は「最大で5社からLNGの見積を受けられる」と書きましたが、各社の提示単価には結構な差が付いていると思います。北陸の場合は冬季の交通遮断リスクも踏まえ、総合的に判断されると良いですね。

設備導入の手法

LNG燃転は多額の投資が必要です。小さい規模でも2億くらいから、大きなものとなると数十億までに及びます。初期投資をユーザー側で工面するか、LNG販社側の投資によって賄うかの2通りに分かれます。

ES(エネルギーサービス)提案 ※初期投資フリー

数億~数十億の初期投資額はLNG販社がリース会社を活用して負担しますので、ユーザーは初期に多額の費用負担はありません。ただし毎月のサービス料金にはLNG使用料のほか、設備投資の回収費用、リース会社の料率などが加わりますので若干お高めとなります。また、長期契約の縛りも受けるため、契約期間内の解約には違約金が発生します。

設備の所有者は、LNG販社(リース会社)ですね。

買取提案 

こちらは、ユーザー側で銀行借入やリース会社を活用し、初期投資も負担するパターンです。多額の投資を要しますが、費用対効果面でいうとこちらがお得にはなります。途中解約による違約金発生リスクもありません。

設備は、ユーザー側の資産となります。

LNG設備はどんな会社が建てるの?

エンジニアリング会社

LNG販社に連れられて来たエンジニアリング会社が設備の設計を行います。エンジ会社の後ろには LNGサテライトを建てる会社、ボイラー屋さんなどのガス機器メーカー、発電設備メーカーらが控えています。

東京ガス、大阪ガス、中部電力の系列のエンジニアリング会社が直近10年では多くのLNG燃転を行っています。

LNGサテライトのメーカー

東京ガスケミカル、エーテック、コベルコE&M、日本ガス開発、エア・ウォーターといった会社があります。

ガス消費機器を検討したい

LNGを使うための設備(LNGサテライト)とともに、肝心のガス消費の検討も進める必要があります。老朽化した30年選手の炉筒煙管ボイラー(A重油焚)は、燃焼効率が高い最新型の貫流ボイラを複数台設置し、エネルギーコストのロス分をカットしましょう。あ、蒸気配管も断熱がボロボロで放熱ロスが大きいのでこれを機にやり替えましょう… なんて話がでることが多いと思います。

こちらも詳しくは次章以降で述べます。

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この記事を書いた人

ガス業界に身を置きはや20年。
LNG燃料転換に必要な知識を体系的に勉強するための記事を書いています。

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