提案を受ける方(エンドユーザー)向け に書かれています
LNG初歩的な知識や、業界の構図について、ステップbyステップで解説していきます
より良い契約を結ぶのに役立ちます
各社の提案を吟味・比較できるようになり、ガス化を検討する
液体燃料(重油や灯油)を使っているユーザー(工場)がガス化を検討する際の選択肢は、現状ではLPGかLNGの実質 2択です。
燃料使用量が多いほど、LNGが選ばれる傾向があります。設備費は高くなりますが沢山消費するためLNGは良い値段で購入でき、CO2もたくさん減らせます。
逆に燃料使用量が少ないほど、LPGが選択されます。LPGは(小口購入となるため)やや割高になりますが、設備費は安く済みます。CO2の削減量もそこそこあります。
LNG換算で使用量が 1,000t/年(=重油でいうところの100kl/月 程度)に近くなればなるほどLNGが採用されているイメージです。
LNG換算で500t/年くらいのユーザーであればLPGを選ばれる半々くらい、500t/年を下回るほどLPGの採用率が上がると思います。(少量ユーザーであれば、LPG提案の方が経済性が良い)
LNGサテライトの配置検討
所要スペース
工場の敷地内でLNGサテライトの建設用地、ローリーの停車場、ローリーが入構&出講するルートを確保する必要があります。
LNGサテライトの建設用地
標準的なメーカーではおおよそ10m×15m程度のスペースが必要です。プレハブ化した超コンパクトなメーカーでは5m×6mのものも存在します。各社の特色、メンテ性能を確認し工場の事情に合ったものを選択しましょう。
ローリーの停車場
LNGを14t運べるサイズのローリーであれば、3m×16m程度の停車スペースを確保します。
ローリーの入出構ルート
長いローリーは取り回しが悪く、狭いところには入れません。構内通路のコーナー部では最低8m幅+αが必要です。また、ラックなどの高架の桁下は4m程度が必要です。どのルートでローリーが入り、どの場所に停め、どうやって退出するか(スイッチバックが発生するか)をあらかじめ検討しておく必要があります。
エリア検討
工場敷地内の一等地はすでに他の設備で占められていることがほとんどです。そのため、空いている候補エリアA・B・Cからベターな場所を選ぶ流れとなります。以下の要素も考慮に入れつつ、総工費が割高にならないような候補地を選定しましょう。
大型重機の作業スペース
LNG貯槽の高さは小さいもので15m程度、大きいもので20mを超えます。運搬するトレーラーは、長いものでは30m(!)にも及びます。この横積みされた貯槽は、レッカー2台を使用して据付作業を行います。据付作業は通常2~3日で終わりますが、かなり広いスペースが必要となるため構内通路の通行止めが発生することが多く、工場操業の事前調整が必要となります。
重機の組立場所と関連車両の待機場所
そのほか、大型重機を現地で組立てするスペースも必要となります。重機(レッカー)は貯槽の大きさによって120t ~ 500t クラスが使用されます。道交法の規制より、レッカーは完成形の姿で道路を走ってくることができません。(重すぎ、デカすぎ)
道路を走れる身軽な姿で現場に到着したのちに、現地でブーム(アーム)と、ウェイト(重り)の組立作業を行ったのち、いざ貯槽の据付となります。大きなレッカーであれば、組立に半日掛かる大作業です。また、ブームやウェイトを運んでくる大型トラックを何台も迎え入れる待機スペースが必要となります。
貯槽の据付はギャラリーが何にも立ち会うような一大イベントです。事前に入念な打ち合わせを何度も実施し、安全第一で作業が行われます。
ガス消費配管
LNGサテライトとガス消費機器までをつなぐ連絡配管のことです。両者が離れすぎていると配管敷設費用が嵩み、メンテや補修リスクも増えることになるためなるべく近い方が望ましいです。
燃転時期(スケジュール)
補助金を活用するか否か
環境省、経産省、その他の補助金が利用できるケースがあり、LNG販社から提案を受けることができます。補助金申請に強い(これまでたくさん申請を行い、交付を得た実績のある)会社から話を聞くのが良いでしょう。
補助金交付を受けようとする場合は、受発注や支払期限について補助金のルール(縛り)があるため、関係者間で入念な事前打ち合わせが必要となります。
ガス出し時期をいつにするか
多くのケースにおいて、LNGガスの使用開始(試運転)は年末年始になります。次点で、8月盆や5月GWです。工場の長期停止時を利用してガス消費機器(ボイラや炉)の入替や改造を行うことになるため、必然、工期のケツはこれらの時期になる訳です。
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