ローリーで運んできたLNGを工場側の貯槽に受入する際に使われるワードです。積荷のLNGをフル(全量)でドロップ(荷下ろし)するの意です。ローリーにはポンプを搭載したものとそうでないものがあります。
ポンプ搭載車 (酸素、窒素、アルゴンなど)
・ポンプで液体を昇圧して貯槽へ移送する
・ローリー側のタンク圧は上がらない(ポンプ以降が昇圧される)
・積荷をA工場で少量下ろし、次いでB工場で下ろすことが容易
・この時の荷下ろし計量は、従前にユーザーと合意した方法で行われる
(液面計を元にしたものや、ローリーのタイヤ車軸のセンサーの計測値を換算したものなど)
ポンプ非搭載ローリー(LNGなど)
・ポンプが無いためローリー用の加圧器でローリータンクを昇圧
(0.10 MPa 程度 ⇒ 0.60 MPa 付近まで) … 液面加圧、製造行為ですね
・0.60 MPa のローリータンクから工場側LNG貯槽(通常0.30 MPa 程度)へ 差圧圧送 する
・受入作業の終盤、帰途の走行を考慮し内圧を下げたい事情あり
・全量下ろすため、計量は「ローリーがLNG基地を出荷する際の台はかりの伝票」を流用する
(受入の現地では計量しない。積んで来たものすべてを下した体とする)
LNGの場合は極低温で、単一成分でない(産出国によりメタンや他成分の比率が都度変わる)ことも影響しているのかもしれませんが、ポンプ搭載ローリーは現在のところ普及していません。
そしてフルドロップを原則とする運用を行うため、LNG貯槽のサイズ(容量)も伴い一定以上の大きさが求められることになります。ほとんどのLNGサテライトが、50 kl、60 klといった大きさ以上であるのはこのためです。ごくまれに20 klクラスの貯槽も世の中に存在しますが、小口配送となるためとても割高なLNG購入単価となり、LNG燃転としては経済性が良くありません。