ニッチで、新規参入が少なくクローズドで、とっつきにくいLNG燃転ビジネス業界を解説していきます。
プレイヤーが少ない(選択肢が少ない)
LNGを販売する会社
電力会社 や 大手都市ガス会社 や大手商社に限定されます。LNGを運ぶローリーは国内のLNG基地から出発し、200㎞圏内のユーザー(工場)まで配送されます。近くに複数のLNG基地がある立地のユーザー(工場)であれば、複数のLNG販売会社からのLNG購入を検討することができます。
プラント建設する会社
LNGを工場で使用するためには、LNGサテライト(LNGを貯蔵、気化するプラント)を建てる必要があります。年間のLNG消費量が500t~1,000tクラスのユーザーの場合、LNGサテライトの費用はおおよそ1億円~2億円となります。
この規模のプラントを得意としているエンジニアリング会社は、5~6社程度です。いわゆる大手プラントメーカーが手掛けるには小さすぎるため、中~小規模のエンジニアリング会社が毎年各地にサテライトを建設しています。
プラントを検査する会社
LNGサテライトは運用開始後、毎年 定期自主検査や保安検査を受検する法的義務があります。経産省のHPでは県に代わって保安検査を代行できる「指定保安検査機関」が現在 16社あることが確認できます。指定保安検査機関 一覧 経済産業省
ユーザー(LNGを買いたい工場)からすると、限られた選択肢の中から比較検討をしていくことになります。
新規参入が少ない理由(参入障壁)
過去20年間を振り返っても新規参入がとても少ない業界であると言えます。その理由を考察してみます。
LNG販売会社が増えない理由
LNGは海外のガス田と20年程度の長期契約を結び国内に輸入されます。数週間を掛けタンカーで海上輸送されたLNGは、日本国内のLNG受入基地(一次基地)に荷下ろしされます。受入基地の建設には巨額の投資が必要であり、電力会社や大手都市ガス会社や大手商社が資本を投下しています。
LNG受入基地の横には、電力会社のLNG火力発電所や大手都市ガス会社のガス工場(都市ガスのパイプラインの起点)が併設されています。電力会社は火力発電所でタービンを回すため、大手都市ガス会社は導管網に天然ガスを高圧圧送するためにそれぞれLNGを用います。両者とも主目的にLNGを用いたのちの余剰分/バッファ分をLNGローリーでLNGを販売したい思惑がある訳です。
まとめるとこうなります。
- LNG受入基地を建設する(必要がある)のは、電力会社や大手ガス会社や大手商社に限定される
- 発電や都市ガスを主業とする会社は、そもそもLNGが大量に必要なので海外から調達する
- その際、巨額な投資が必要になる
- 中小資本では受入基地の建設はできない
- LNG販売権益を持てるのは受入基地に資本投下している会社のみであり、今後もこの構図は続く
エンジニアリング会社が増えない理由
前項のLNG受入基地は、大手のエンジニアリング会社が建設を担当します。タンク容量や数、港湾設備の周辺環境にも依りますが 500~1,000億円規模(!)の建設費が必要です。計画・構想に2~3年、建設に3~5年が掛かります。
日揮、川重、IHI、千代田化工機、JFE、大手ゼネコンなどが国内・海外でプラント建設を担当しています。
対して工場に設置されるLNGサテライト(二次基地と呼ばれます)の建設費は1~2億円程度のものが多く、建設を担当する中~小規模の会社となります。上記のような大手エンジニアリング会社では費用面でとても間尺に合わないため、商売の棲み分けがなされています。
LNGサテライトを得意として毎年建設実績がある会社は5~6社ほどです。(ネット検索するともっと多くの会社名が挙がりますが、下請けとして実際に建設の実業務を担える会社はその程度となります)
他の燃料(重油や灯油やLPG)は常温の設備ですが、LNGは-162℃の超低温に耐えうる設備が求められます。配管溶接や電気工事などにおいて求められる施工レベルに大差は無いのですが、必要となる機器や特有のトラブルを回避する設計面においてそれなりのノウハウ・知見が必要となります。
LNG燃料転換はこれまでの30年で各地でなされており、この先20年においても当面続いていくことが予想されていますが、新規参入してくるほどの市場規模でも無く、既存の5~6社でちょうど寡占状態であると言えます。(各社とも「人が足りない」「仕事を断らないといかん」といった声も多いようですが…)
検査会社が増えない理由
検査会社に対しては、筆者は同情的に見ています。設備の定期的な検査や経年劣化診断、トラブル時の緊急駆け付け対応などの大切な業務を担当しているのにも関わらず、価格面でも買い叩かれ、いわゆるブラック労務が何年も続いています。徐々に改善されていると信じたいですが、「またあの会社に労基が入った」なんて話を以前はよく耳にしました。人もよく辞める業界と言えます。
ということで商売の内容的に、新たな会社が新規参入してくるインセンティブが無い業界になって(しまって)いると言えます。
物価がどんどん上がっている世の中、検査会社も上手に価格転嫁を認めてもらい各社がWIN-WINになることを願っています!世の中にLNGサテライトは増える一方なのですから。
まとめ
- LNG燃転業界はとてもニッチ
- 世のトレンドとしてLNG燃転は当面続くも、種々の理由(障壁)から新規参入がほとんど無い
- 各レイヤー(売る人、建てる人、検査する人)において寡占状態(とは言えどこも人不足…)
ユーザー(LNGを購入する側の工場)は、LNG販社やサテライト建設会社の比較検討を上手に行って ” 良いLNG燃転 ” を目指しましょう!
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