ここまでの記事でLNG燃料転換(燃転)の業界や業務について簡単に説明してきました。ニッチでクローズドでとっつきにくいこの業界について、さらに深堀りしていきます。攻めた記載もいくつかありますが、異論は…もちろん認めさせていただきます。
商売の構図(商流解説)
LNG燃転ビジネスを図にするとこうなります。
ユーザー(工場)は、基本的にLNG販社(電力会社、大手ガス会社、大手商社)と商談をすることになります。LNG販社の後ろには、エンジ会社やその他の各メーカーが控えている構図となります。
ユーザー(工場)
今まで重油や灯油を使用してきました工場が、CO2排出量削減のため燃料のLNG化を検討することになりました。最初にチェックしていくのは以下になります。
- 総工事費のおおよその費用の確認
- 工事スケジュールの確認(発注からおおよそ1.5~2年)
- 補助金の検討
- LNGサテライトの建設場所の検討
LNG設備は、適用される法規が「高圧ガス保安法」になります。これまでの重油タンク設備は「消防法」でしたね。窒素や酸素やアルゴンと言った液化ガスのタンクが工場構内にある場合、それらはすでに高圧ガス保安法の適用を受けていますので勘どころがあるかと思います。
今回初めて低温液体用の貯槽(-162℃のLNGを貯蔵する魔法瓶構造のタンク)を設置する場合は、高圧ガス保安法ってなに?の状態かと思います。LNG販社の説明を聞きながら基本的な部分を理解していきましょう。
LNG販社のA社から話を聞いたのち、続いてB社やC社からも提案を受けたいところですが、工場の立地によって幾つの会社から話を聞けるかは変わります。近くにA社のLNG受入基地しか無い場合は、A社の一択(他社の選択肢が無い)となります。
LNG販社
電力会社、大手都市ガス会社、商社の系列会社がLNGを売るためにユーザーへ提案を行います。
電力会社系列
特にLNG燃転実績が豊富なのは、中部電力(のグループ販社)です。次いで、北陸電力や九州電力などが挙げられます。電力会社は大組織で異動、ジョブローテーションが定期的に行われるため、LNG燃転におけるプロフェッショナル人材は生まれにくいと言えるでしょう。5年程度の知見を積んでバリバリになった頃に異動するイメージです。
大手ガス会社系列
東京ガス、次いで大阪ガスが多くのLNG燃転実績があります。電力会社と比較して、プロ人材が多いと言えます。導管(パイピング)提案もLNGサテライト提案も行え、ガスに精通しています。
東邦ガスは、LNGサテライトによる燃転実績はほとんどありません。同エリアに中部電力があるため、導管提案に専念しています。
西部(さいぶ)ガスは、ひびき受入基地の増強が決定したため今後LNGサテライト燃転にも力をいれていくのではないかと見られます。同エリアの九州電力と競合しながら九州の北半分のユーザーへ提案を継続していますが、実績は多くはありません。
商社系列
岩谷産業(LPG販売量 No.1)が商社の中ではLNG燃転実績が多いと言えます。LNG受入基地は持ちませんが、各地の電力会社の売り子としてLNG燃転をサポートしており、北陸や九州で実績が多いです。
伊藤忠エネクスも東日本エリアにおいてLNG燃転実績が幾つかあります。
丸紅エネルギーは近年はLNG燃転ビジネスではあまり名を聞かなくなっています。
ENEOS(旧 JXエネルギー)も東日本をメインにLNG燃転活動を行っています。
商社は全国の営業支店網を利用したきめ細かい営業活動が強みです。営業力は強い反面、技術的な知見が無いため下請けに丸投げで仕事を進めることが多いようです。また、LNG売買においてはユーザーと販社の間に窓口会社として立ち口銭を取る形になるため、燃転後のランニングコストは上がります。
エンジニアリング会社
LNG販社がサテライトメーカーに声を掛け、タッグを組んでユーザーへ提案を行うことが多いです。LNGサテライトのような小規模のプラント建設を得意としている会社は以下となります。
東京ガスケミカル … 東京ガス系
大陽日酸東関東 … 東京ガス系
千代田機械製作所 … 東京ガス系、大阪ガス系
エーテック … 岩谷産業系
日本ガス開発 … 独立系
エア・ウォーター … 独立系
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