LNGサテライトとは?仕組み・設備構成・導入時の注意点をわかりやすく解説

目次

LNGサテライトとは?

LNGサテライトとは、都市ガス導管が近くにない工場などで、液化天然ガス(LNG)を利用するための設備です。

LNGをタンクローリーで工場まで運び、工場内に設置したLNG貯槽に受け入れます。
その後、LNG気化器で液体のLNGを気体の天然ガスに戻し、ボイラー、工業炉、乾燥炉などの消費設備へ供給します。

簡単に言うと、LNGサテライトは、

LNGを運び、貯めて、気化して、工場で使えるガスにする設備

です。


なぜLNGサテライトが使われるのか

工場では、重油、灯油、LPG、石炭など、さまざまな燃料が使われています。

近年は、CO2排出量の削減、燃料転換、BCP、エネルギーコストの見直しなどを目的に、天然ガスへの切り替えを検討する企業も増えています。

ただし、すべての工場の近くに都市ガス導管があるわけではありません。

都市ガス導管が近くにない場合でも、LNGをローリーで運び、工場内で気化することで天然ガスを使えるようにする。

それが、LNGサテライトの役割です。


LNGサテライトの基本構成

LNGサテライトは、いくつかの設備で構成されています。

代表的なものは、次の通りです。

  • LNGローリー
  • LNG貯槽
  • LNG気化器
  • 制御装置
  • 温水発生装置
  • ガバナ

それぞれを簡単に見ていきます。


LNGローリー

LNGを工場まで運ぶためのタンクローリーです。

LNGはマイナス162℃程度の低温で液体になっているため、専用のローリーで輸送されます。

工場に到着したLNGローリーは、工場に設置されたLNG貯槽へLNGを移します。

このLNG受入作業でローリーは2時間程度停車するため、

その他の車両の構内との干渉はないか。
ローリーが安全に進入・退出できるか。
周囲の建物や設備との距離は問題ないか。

などを、計画の初期段階から確認しておく必要があります。

代表的な会社として、エア・ウォーター、日本車両製造、エーテックといった会社があります。


LNG貯槽

LNG(マイナス162℃)を一時的に貯めておく、魔法瓶構造のタンクです。

内槽と外槽の二重構造となっており、断熱材(パーライト)が使われています。

LNGは低温液体のため長期保存には向きません。工場のガス消費量、ローリーの受入頻度、法規制(危険物との離隔)などを踏まえ、貯槽の容量が決まります。

60m3、80m3、100m3といった貯槽が選定されることが多いです。

代表的な会社として、エーテック、クライオワン、エア・ウォーター、日本化学機械製造といった会社があります。


LNG気化器(蒸発器)

液体のLNGを気体の天然ガスに戻す設備です。

ローリーで液体で運ばれてきた液化ガスを、LNG気化器で温めて気化(ガス化)します。

気化器にはいくつかの方式があり、工場の使用量、運転パターン、設置条件、メンテナンス性などを踏まえて選定します。

気化方式を大別すると、熱源(温水や蒸気)を必要とするものと、熱源が不要(大気熱を利用)なものに分かれます。

代表的な会社として、東京ガスケミカル、エーテック、日本ガス開発、ミクニキカイ、エア・ウォーター、SDAT、KOBELCOといった会社があります。


温水発生装置

LNGを気化させるための熱源として使われる設備です。

湯沸かし装置(給湯器や小型簡易ボイラー)で60℃の温水をつくり、気化器で熱交換することで0℃以上のガスにします。

気化器方式が空温式(熱源が不要)を採用した場合は、温水発生装置は必要ありません。


制御装置

LNGサテライト全体を安全に運転するための装置です。

圧力、温度、液面、バルブの状態などを監視し、異常があれば警報や遮断などの動作を行います。

LNGは可燃性ガスのため、制御盤の設置場所はLNG機器と8mの離隔が必要です。(高圧ガス保安法による)


ガバナ

気化した天然ガスは、所定の圧力(0.10~0.20MPa)に調整されたうえで、工場内のガス消費設備へ送られます。

工場で使われるガス消費設備とは、ボイラー、炉、加熱設備、発電設備などです。


ガス消費までの流れ

LNGサテライトでは、おおまかに次の流れで天然ガスを利用します。

  1. LNGをローリーで工場へ輸送する
  2. LNG貯槽へ受け入れる
  3. LNG貯槽で保管する
  4. LNG気化器で気体の天然ガスに戻す
  5. 圧力を調整する
  6. 工場内の消費設備へ供給する

流れとしてはシンプルに見えます。

ただし実際には、ローリー受入、貯槽容量、気化能力、圧力調整、保安距離、法規制、運用体制など、多くの条件を同時に見ながら計画する必要があります。


LNGサテライトの設置検討

設備の大きさや仕様に目が向きがちですが、次のようなポイントを確認します。

・LNG貯槽を搬入、据付することができるか。
・各種の法的制限(離隔距離)をクリアできるか。
・工事期間中は、工場操業との干渉がないか。
・周囲の民家等への影響が出ないか。
・LNGローリーの入出構、受入作業に干渉はないか。
・将来の更新工事やメンテ工事を可能とするスペースがあるか。


サテライト工事の種類

LNGサテライトの設置には様々な工事が発生します。時系列に並べると以下となります。

・基礎工事
・輸送工事
・配管工事
・電気工事
・断熱工事

サテライトからガスを送る先のガス消費機器も、LNG化にともなって入替や改造工事が行われます。

それぞれの工事会社が絡むため、各社の取り合い点で「抜け・落ち・言った/言ってない」が発生しがちです。

誰が、いつまでに、どの状態で施工を完成させるのかをしっかりと事前調整する必要があり、PM(プロジェクトマネージャー)の腕の見せ所となります。


保安・運用体制

LNGサテライトは、完成したら終わりではありません。

設備が建ってから、長い運用(付き合い)が始まります。

運用開始後のルーティンとして、
・日常点検
・ローリー受入
・定期自主検査、保安検査
・メンテナンス、トラブル対応
などが続くことになります。

長期間の設備運用(15年ほど)を続ける中で、数年ごとに設備担当者は交代していきます。

後任担当のため、運開初期より設備の台帳をつけ、知見の継承を図ることが大切です。
・過去のトラブル発生の対応履歴
・設備の傾向、クセ
・緊急連絡体制表の更新
・安全教育の履歴


まとめ

LNGサテライトとは、LNGをローリーで工場まで運び、工場内で貯蔵・気化して、天然ガスとして利用するための設備です。

都市ガス導管が近くにない工場でも、天然ガスを利用できるようにする方法として使われます。

LNGサテライトは、設備そのものよりも「どの条件で計画するか」「誰がどこまで担当するか」「完成後にどう運用するか」で、プロジェクトの進み方が大きく変わります。

初期検討の段階で整理が不十分なまま進むと、見積、工事範囲、保安距離、運用体制のところで後から詰まりやすくなります。

LNG燃転ラボでは、LNGサテライトの仕組みだけでなく、導入時にどこでつまずきやすいか、どうすればプロジェクトが停滞せずに前に進めることができるかちついても解説していきます。

燃転プロジェクトを、前へ。

この記事を書いた人

LNG業界で20年以上、営業・技術・PMとして全国50件以上のLNGサテライト導入に携わる。

営業、技術、建設、保安まで幅広い実務経験を持ち、現在はLNG燃転プロジェクトの事業支援・人材育成を行っている。

このサイトでは、LNG燃転の基礎知識から実務ノウハウまで、経験をもとに分かりやすく発信しています。

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